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理事長所信

 

本青年会議所を取り巻く状況

船橋青年会議所理事長
2014年度理事長
日色 健人

私達の活動する船橋市は現在人口61万人を数え、全国有数の活気ある中核市として、また県内第2位の都市として名実ともに発展を遂げてきました。人口減少の波が日本全国を覆う中にあってもなお当市においては人口増が続く要因には、東京近郊という利便性だけでなく、豊かな自然、盛んな商工業、受け継がれる歴史と文化、活発なコミュニティ活動など様々な要素が融合し、他の追随を許さない都市の魅力として多くの人々に認められていることがあげられるでしょう。

しかし同時に、人口増の陰でもひたひたと進む少子高齢化とそれに付随する福祉サービス需要の多様化、遅々として改善の進まない都市環境の現状、一層の充実が求められる教育環境の実際、各種選挙における低投票率に表わされる政治的無関心など、多くの行政課題を抱えていることもまた事実です。

このような中にあって、2013年7月には16年ぶりの新市長が誕生し、市政においても良き流れは継承し、改めるべきは改められることにより、新たな風が吹きこまれることとなりました。本青年会議所を取り巻く状況は日々刻々と変化していることの認識を新たにしつつ、この節目の年にあって改めて「明るく豊かな社会の実現」を目指す私達の役割を見つめていかなければなりません。


本青年会議所の状況

翻って2014年度において創立45周年を迎える本青年会議所の状況を鑑みるに、ここ数年は公益法人制度改革の大波に洗われる形となり、公益社団法人格取得に向けた申請業務、各種定款・規定類の整備など多くの作業に追われました。しかし、新法人への移行に向けた障害もその多くを乗り越えるとともに、この機会を捉え、先輩方が営々と積み上げていただいた財を元手として、運動の拠点となる船橋青年会議所会館の建設・取得を為し得たことにより本青年会議所の未来が大きく開かれたことは誰もが認めることでしょう。

減少が続いた会員数も現在においては多くの会員の努力により反転の兆しをみせており、意欲ある新入会員の活発な活動は本青年会議所内にも爽やかな風を巻き起こしています。

その一方で、公益法人移行を見据えた会の運営ならびに予算作成・執行のプロセス、例会の在り方、公益目的事業と内部向け事業の調整など、多くの試行錯誤を繰り返すことを余儀なくされている現実を直視しないわけにはいきません。また同時に、先輩方から脈々と受け継がれてきた良き伝統と経験の蓄積が、会員の減少とともに失われつつあることを惜しむ声も少なくありません。

そして何よりも、青年会議所「運動」という言葉が示す通り、会員の拡大こそが私達の目的の一つであり、「明るく豊かな社会の実現」の担い手たる会員が存在しないことにはいかなる活動も行い得ないにもかかわらず、人口に比してまだまだ十分な組織を形成するに至っていないことは痛切な反省をもってあたらなければなりません。


本青年会議所の存在と果たすべき役割

それでは以上のような状況を踏まえ、2014年度の本青年会議所はどのような存在であり、どのような役割を果たすべきなのでしょうか。

この命題を考えるにあたり、本青年会議所の歴史の中にあって、おそらく2014年度は公益法人格取得後初の年度となるという大きな背景を踏まえることが必須となるものと考えます。1970年の設立、1982年の社団法人化に続く、組織としていわば第3の創業期を迎えるにあたって、未来を見据えた本青年会議所の存在と役割を考えていかなければなりません。

このような視点に立って考えた際、本青年会議所の存在と果たすべき役割はいかなる状況にあろうとも、その設立以来不変であることに改めて気付かされます。すなわち、設立趣意書に記されるとおり私達は「次代の社会の担い手、推進力として」、「現在の社会がより美しくより豊かに、より正義にみちた社会になることを熱望し、理想的な社会を建設したいと念願」していることであり、そのために「社会的、国家的、国際的責任を自覚し、志を同じうする者相集い、力を合わせ、青年としての英知と勇気と情熱を持って明るい豊かな社会を築き上げる」べく行動することに尽きるのではないでしょうか。

公益法人移行、運動拠点たる青年会議所会館の取得という大きな転換期であるからこそ、改めて原点に回帰し、私達の存在と役割を見つめなおすことが必要です。そして設立以来不変である理念のもとに、今日的な課題と向き合い、新たな手法と前例にとらわれない改革意識をもって取り組むことで、この街のある限り、いや、この世界あるかぎり本青年会議所もまた永遠の存在となると信じるものです。


本青年会議所が取り組むべき具体的な課題

以上を踏まえ、今年度私達が取り組むべき具体的な課題について、以下の6点を示します。


信頼される組織運営と効果的な広報体制の確立を求めて

そもそも私達が名乗る(公益社団)「法人」とは何でしょうか。定説では、自然人でないものでありながら、法律の定めにより人としての権利能力を与えられたもの、と解されています。つまり、本青年会議所は法律的には「人」として(権利能力の主体として)扱われているということになります。

社会の中で「人」が存在していくためには様々なことがらが要求されます。存在するための空間(場所)や経済的自立のための資産や所得も必要でしょう。しかし、そうした物理的なものだけではなく、人として他者から承認されること、その上で人として信頼されていることが不可欠です。

私達個人が誠実な友人を承認し、信頼するように、本青年会議所は社会から誠実な隣人として承認され、信頼される存在でなくてはなりません。そのためには本青年会議所がこの社会において「人として」存在する基盤である法律、定款、諸規定に則った運営および意思決定を確実に行うとともに、最小の投資で最大の効果を生み出す経済的合理性を追求した予算執行を行っていかなくてはならないと考えます。

とりわけ、今年度は公益法人格取得後最初の年度となることが見込まれることから、初年度として今後の基盤となる組織運営を確立することを目指します。

出生と同時に人間(自然人)はこの世に実体として存在します。体を持たない人間は存在していません。たとえ何らの言葉を発しなかったとしても、自然人はその肉体が朽ち果てるまで、厳然とそこに存在しています。しかし、法人はあくまでもある集団を人に擬した存在であり、そのような実体を、血の通った体を持つことができません。だからこそ、本青年会議所は、常に意図して声を発していかなければならないのです。時には赤ん坊が母を求めて泣くように切実に、時には親しい友を呼ぶように朗らかに、そしてまたある時には求婚するかのごとく愛を込めて、我々が考えうるあらゆる表現方法と手段を駆使してその存在を社会に伝えて承認を求めていかなければ、存在しないことと同じになってしまいます。

すなわち、本青年会議所にとって広報とは、社会において私達が存在することの証そのものであると考え、効果的な広報体制の確立を目指します。


地域社会における国際的理解を求めて

青年会議所運動の特徴の一つはその国際性であり、このことは本青年会議所定款の目的にも、「地域社会における国際的理解を深め、国家及び世界の繁栄並びに平和に寄与すること」として明確に記されています。

翻って我が国そして我が船橋市の状況を鑑みるに、本青年会議所が設立された1970年代から比べても国際環境は激変し、物流の発展及び情報化社会の進展に伴って世界はより狭く、より複雑な関係のもとに存在するようになり、多国籍企業の存在に象徴されるように経済活動においてはすでに国家の概念をも超越するような事態となっています。島国という特殊性を持つ我が国においても、モノ・カネの移動に留まらず、人の移動の面からも遠くない将来、移民の受け入れを検討せざるを得ない日が来ると言われており、現に当市ではすでに1万名を超す外国籍市民が生活をしています。

改めて確認するまでもなく私達の生活は世界情勢と一体不可分であり、国際問題は自らの問題なのです。しかし、ともすれば私達はこの視点を忘れ、自らの暮らす地域の問題を限定的・局所的に捉えてその解決を図りがちであり、あるいは国際的な問題を自らとは無縁の別世界の話として視界から除外するきらいがあります。

綱領に定めるがごとく「国際的な責任を自覚し」、国際的なネットワークを持つ青年会議所のメンバーであるからこそ、私達が率先して国際社会が直面する問題を我がこととして捉え、また地域における国際的理解を求めて、市民に対しその問題解決に向けたアプローチを提供するとともに、市民とともに行動していかなければなりません。

Think globally, act locally. (グローバルな視点で考え、地域において行動する)とは環境問題を例に良く言われることですが、改めて国際人たる私達青年会議所メンバーとして胸に刻みましょう。


地域の太陽たる指導者を目指して

私達Jayceeは「次代の社会の担い手、推進力」(設立趣意書)であり、「次代の担い手たる責任感をもった20歳から40歳までの指導者たらんとする青年」(社団法人設立趣意書)であって、現に社会の中心的な存在となる一歩手前の段階にあります。いわば社会の担い手としても指導者としても未完成の状態であり、だからこそ無限の可能性を秘めている存在とも言えましょう。

しかし、誰しもが社会においてあるいは自らの仕事において指導的な立場につくことを許されるわけではありません。指導者とは自ら進んでその地位に就くものではなく、周囲よりその地位に就くことを求められて初めて権威が発するのであり、その信任を失った時にはその効果も失われるものです。

私達Jayceeが指導者たらんとするのであれば、それにふさわしい能力(リーダーシップ)を求められますが、それはどのようなものでしょうか。この命題に対し、私は、地域の太陽たる存在であること、と答えようと思います。太陽のごとく自ら輝き、熱を発し、あまねく地域に、そして人々にその光を惜しみなく注ぐ。夜にひとたび休息を取りつつも、朝には再びその姿を現し、時には雨雲に遮られつつも決してその輝きを失うことのない存在。私達は地域の太陽として燦然と輝き、木々に命を、地に熱を与える存在でありたいと思うのです。そうした存在であるために、私達は自らの生まれもった熱を、生命そのものを、青年会議所活動を通して修練し、高め、昇華させなければならないと考えています。

同時に、地域の太陽は私達だけではなく、61万市民の中にはこれから指導者として輝く時を待っている多くの星がいると確信しています。これらいまだ光らざる星星を集め、私達とともに磨いてその光を放つ時、私達の街は光溢れる輝かしいものとしてその存在を広く世界に知られることになると信じています。


行政のカウンターパートとしての役割を果たすために

市民の立場から市という存在を考えるとき、市を「何かをしてくれる存在」と捉え、自分たちを「何かをしてもらう存在」と捉える視点が垣間見える場合があります。自治体とはそもそも住民の福祉のための組織に過ぎず、市民より上の立場でも下の立場でもなく、市民そのものです。であるにもかかわらず、上記のような視点が存在するところに、政治・行政を自らのものとして捉えない政治的無関心の闇が広がっているのではないでしょうか。

この問題を解決するために私達が取り組むべき道は2つあります。一つは選挙を通じて政治的意思を示すこと(そのための環境を整えること)、そしてもう一つは市の政策形成また検証プロセスに適切かつ積極的に関与し、私達の意思を正しく市政に反映させることです。

前述のとおり市は多くの行政課題を抱えるとともに、新市長のもと新たな政策を打ち出そうとしています。そして市はその政策形成にあたり、偏らない市民の意見を常に求めています。政治的中立を保ち、不偏不党の姿勢で純粋に市民の声を調査し議論のもとに提言また行動のできる団体は私達青年会議所をおいて他にありません。

かつて私達の先輩は市立養護学校の建設にあたり、市民を巻き込んだ運動を主導し、その実現に大きく寄与したと聞いています。行政課題を市の問題として他人事のごとく傍観するのではなく自らの問題として捉え行動し、行政のカウンターパートとして信頼される存在を目指します。


全ての青少年に「本物」の体験を与えよう

『子どもの「生きる力」を育む上で,自然体験をはじめ文化・芸術や科学に直接触れる体験的な活動が重要である。社会で求められるコミュニケーション能力や自立心,主体性,協調性,チャレンジ精神,責任感,創造力,変化に対応する力,異なる他者と協働したりする能力を育むためには,様々な体験活動が不可欠である。』(平成25年版子ども・若者白書より抜粋)。このような認識は広く社会に受け入れられて久しいですが、その反面その機会が十分に提供されているとは言えないところです。

本青年会議所でもこれまで毎年のように青少年に対しさまざまな機会の提供を続けてきました。しかし、その機会は当市の青少年全てに対し届いていたでしょうか。また、十分な量の機会を提供できていたでしょうか。

また、仮に十分に提供できていたとしても、その効果を高めるためにはその体験の質をもまた不断の努力によって高めていかなければなりません。

こうした、質・量ともに十分な機会を提供できて初めて、「本物」の体験を青少年に与えることになると考えます。もちろん、私達だけでできることには限界があります。しかし、周知を集め、時に他の団体とも手を携えて、当市の未来を担う青少年に対し、学校・家庭では経験することのできない「本物」の体験を提供することこそ、私達に期待されている役割だと考えます。


笑顔あふれる集いと信じ合う仲間を求めて

本青年会議所の存在は対外的な意味に留まるものではありません。私達青年が集い、語らい、切磋琢磨することそのものにも大きな意義を有していると考えています。

青年期だからこそ出会える、かけがえのない仲間とともに。若い我等の心を集め、つくる集いに未来をかけて。一生の中で多くの人と出会う中で、生涯の友と呼べる仲間に出会える最後の機会がこの青年期ではないでしょうか。この10年で人々のコミュニケーションの手段は格段に進歩し、多くの新たなつながりを生むと同時に時代のスピードをも加速させた感があります。そのような時代だからこそ、限られた人生の中の、青年期というさらに限られた時間において、志を共有する仲間と深く真摯な集いを持てる喜びを大切にしていきたいと考えます。

そして、深くまた笑顔あふれる集いには、さらに多くの仲間が集うことになるでしょう。人が人を呼び、人の輪が重なってさらに大きな輪を形成する。青年会議所「運動」である以上、会員の拡大は至上命題ではありますが、原点に立ち返り、信じ合える仲間がさらに信じ合って仲間を増やすことを全メンバーとともに取り組んでいきたいと考えます。


むすびに

緯度の高い極地では真冬のある時期、一日中太陽の昇らない「極夜」という日が続くそうです。想像できるでしょうか、終日吹雪と闇夜に包まれ、それが約1カ月余りも続く長い長い日々を。そして長い冬の終わりを告げる日、実に数十日ぶりに太陽が地平線の彼方にわずかに姿を現し、朝陽が大地に差し込む瞬間を、極地に暮らす人々は歓呼をもって迎えると言います。

青年会議所運動は、そしてこの運動に取り組む私達はまさにこの極夜の大地を照らす一筋の光だと私は考えるのです。

世界は、そして私達の地域はいまだ明るい豊かな社会の実現にいたらず、多くの解決すべき課題を抱えています。これまで45年の長きにわたり、船橋青年会議所は地域を照らし続けてきました。しかし、今一度立ち返って考えてみて欲しいのです。私達はあまねく地域を照らせていたでしょうか。まだまだ私達の光が届いていない人々がいるのではないでしょうか。私達の光を受けて輝く時を待つ原石が、あるいは発芽の瞬間を待つ希望の種が眠っているのではないでしょうか。修練・奉仕・友情の三信条を高く掲げ、青年としての英知と勇気と情熱をもって取り組めば、決して不可能はありません。極夜の大地に差し込む一筋の朝陽が凍土を溶かすように、私達は地域の太陽として惜しみなく愛する地域のために輝こうではありませんか。仲間を信じ、ともにその熱を高めたいと願うものです。

光を、届けよう。地域を照らす朝陽のように。


スローガン

光を、届けよう。

~地域を照らす朝陽たれ!~


基本計画

①信頼される組織運営と効果的な広報体制の確立

②地域社会における国際的理解の深化ならびに国際問題への啓発

③地域社会における信頼される指導者の養成

④行政課題に対する調査・研究・提言ならびに検証活動

⑤良質な体験活動を通した青少年健全育成

⑥質の高い例会を通じた会員相互の信頼醸成

⑦青年会議所会員数の拡大